ハーブは安心安全というイメージがありますね。
なんか、からだに良いものであると。
しかし農作物である限り、その安全性は農業者の誠意にかかっているのです。
誠意とは、どこまで無農薬・有機で栽培するかということ。
農薬や化学肥料を使った方が、楽にしかも多くのハーブを収穫できるでしょう。
しかし、それでは残留農薬の弊害が残り、しかもひ弱なハーブになってしまいます。
農薬や化学肥料に頼らず、無農薬&有機栽培を行うと、害虫や病気、連作障害とさまざまな問題が
発生します。
とても手間がかかり、農作物としては効率が悪いのです。
私は完全無農薬・有機肥料だけのオーガニックハーブを育てています。
それでも、雑草抜きや虫除けのネットを被せたりと人間の手が入ることになり、結果それがハーブを
ひ弱にしてしまうことになります。
本当は、「自然のままに育てる方が丈夫で美味しいハーブになる!」のだろうと思うのです。
今は12月。露路栽培しているハーブは霜にやられてどんどん枯れていってしまいます。
葉も凍結しないように糖分をため、固くなって変色もしていきます。
でも、驚いたことに手入れが行き届かなくて雑草だらけの一角で育っているハーブは、まだまだ青々として
とても良い状態で育っているのです。
なぜだと思いますか?
それは、ハーブに覆い被さるように生え放題の雑草が、結果的に寒さ避けになり、霜や冷たい風から守ってくれているからなんです。
夏、あれほど忌み嫌った雑草が、冬にハーブを守るという事実。
しかも、無肥料で。
考えてもみてください。
自然界の雑草たちに人間は肥料を与えていますか?
土手や野原、何もしなくても毎年元気に雑草たちは生えて、辺り一面を覆い尽くします。
茎も太く青々とした生育ぶりです。
草花は本来それほど生き抜く力を持っているのです。
交配やバイオ技術で改良された農作物、ハウス栽培、農薬漬け、化学肥料漬けにされた植物は、
どこまでも人間の手助けがなければ育つことができない人工物に過ぎないのではと思ってしまいます。
流石にキャベツや白菜、きゅうりにトマトなどを自然農法で育てるのは、自分だけが楽しむのなら良いでしょうが、
ビジネスとしての農業ではその収穫量が見合わないのが事実です。
せいぜい「減農薬」、いわゆる出来るだけ農薬を減らした農法がいいところでしょう。
しかし、ハーブは本来丈夫な植物なのです。
ミント系のハーブなんて、露路に植えてしまうと雑草化し周りの草を駆逐しながら生育していく
危険植物だと言われていますし、実際にそうなのです。
それほどの力を持つハーブだから、人間にさまざまな力を与えてくれることができる訳で、
ひ弱に育った力無いハーブでは、人間に力を与えるにはそれこそ力不足といっていいでしょう。
もう一度結論として伝えたいのは、
「自然の農法」で育てたハーブが一番美味しくて、
摂取することで、こころとからだに沢山の力を与えてくれる!という事です。
余談ですが、「減農薬」という農法について少し書かせてください。
文字どうり農薬を減らす農法なのですが、これが実はとても危険な農法だとも言われています。
実際私の知っている農業者は、「減農薬」と謳っている作物は自分なら買わない、食べない!と言っています。
なぜでしょう?
少し専門的な話になるのですが、少しだけ我慢して読み進めてくださいね。
まず、「減農薬」の表示はもう使えなくなりました。現在は「特別栽培農産物」に統一されているそうです。
「無農薬栽培○○○」や「減農薬栽培○○○」の表示は誤解を与えたり定義が曖昧などの理由から、
農林水産省「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」により平成16年に禁止されました。
特別栽培農産物とは、その農産物が生産された地域の慣行レベル(各地域の慣行的に行われている節減対象農薬及び化学肥料の使用状況)に比べて、
節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下、で栽培された農産物なのです。(節減対象農薬と化学肥料双方の節減が必要です。)
注目すべきなのは、「減農薬とは対象の農薬の使用回数を本来の50%以下に抑えたもの」という定義であること。
農薬の量を減らすのではなく、使用回数を減らすことが条件なのです。
結果、減農薬でも丈夫に多くの農作物を育てるために農家は何をすると思いますか?
一度あたりの農薬の量を増やしたり、より強力な農薬を使ったりする訳です。
先の知り合いの農業者に言わせると、通常の農薬散布した農作物であれば、葉や実の表面に農薬がかかっている程度なので、
水で洗えばある程度農薬は落とせるけど、減農薬で育てた農作物は作物に吸収され残留しているから洗っても落とせない。
だから減農薬で栽培された植物は危険だというのです。
この事実の信憑性を信じるかどうかはあなた次第です。
でも、関心を持ったのなら一度自分でも調べてみることをお勧めします。
最後に、誤解のないようお話ししておきますが、多くの農業者は少しでも安心安全な農作物を
食卓に届けたいと必死に頑張っています。
決して、農薬まみれの農作物でも儲かったらいい!なんて考えで農業をしている人はいないでしょう。
そんな頑張っている農業者を応援する意味でも、消費者の私たちは、形が不揃いであったり、
多少虫食いの葉でも買う習慣を身につけていけたらいいですね。
野菜の虫食い跡は、安心の印なのです。